あいこは"勝ち"~HKT48×乃木坂46 in GUM ROCK FES~
指原は勝てない勝負には乗らない女。
逆に言えば、彼女が勝負に出るときは、そこに勝機を見い出しているということ。
その指原イズムはHKT48にも継承されている。
GUM ROCK FESでHKT48は、乃木坂46との戦いをあいこに持ち込んだ。
勝たずとも負けずに、HKT48はこの機会を最大限に利用した。
GUM ROCK FES HKT48 vs 乃木坂46
1/26武道館で行われたこのイベント。
プロレスをはじめいくつかのジャンルで対決構図が取られ、アイドル部門としてHKT48と乃木坂46がしのぎを削った。
指原はMCで会場にいた乃木坂46ファンの多さに触れた。
ステージに上がる前に抱いていた不安を語り、受け入れてもらえたことを喜び、乃木坂46ファンの懐にするりと入り込む。
続けて「相手(乃木坂46)は(HKT48より)格上」と乃木坂46に敬意を払うことも忘れない。
この一連の発言自体は、おそらく大げさにへりくだったものではなく、指原の冷静な本音だ。
2015年躍進し、紅白に出場、CDも売り上げ良好、女性ファンの拡大を続ける乃木坂46。
48グループからイマイチ頭一つ抜け出せず紅白を逃し、NGT48の結成で末っ子チームの特権がもう使えないHKT48。
その差はだれの目から見ても明らかで、シビアなビジネス視点を持つ指原も十分すぎるほど理解していたはずだ。
HKTが目指した"勝ち"
HKT48はどうすれば勝てるのか。
彼女たちは勝負に勝とうとは思っていない。
勝たなくても、負けなければ、HKT48の"勝ち"だった。
勢いがある乃木坂46に負けないLIVEができれば、それだけでHKT48の評価は上がる。
つまり、"乃木坂46と戦えるポテンシャルがあること"をアピールすることが、HKT48にとってこの戦いの"勝ち"だった。
そこで、指原先生お得意の土俵を変えて勝う戦法である。
凜とした美しさやパフォーマンスの質で圧倒する乃木坂46と真正面から戦っても、勝ち目はない。
HKT48は強みである"盛り上がるLIVE"に徹底的に特化したセットリストを組んだ。乃木坂46の盛り上がり曲である『ダンケシェーン』もカバー。
この日、乃木坂46のメンバーたちも気合が入っていて、素晴らしいパフォーマンスだったことは間違いない。
しかし、それと互角にわたり合えるような印象をHKTは残したのだ。
LIVEでの対決という明確なルールも判断基準もないこの勝負。HKT48は乃木坂46に負けない盛り上がりで会場を包み、圧倒的実力差を忘れさせるような戦いを展開した。
どんな波も最初は現場からうなりをあげる。
現場の関係者やファンが、直に勢いを感じ、それが伝播され、やがて大きな波になる。
乃木坂46と戦える姿を見せたことで、HKT48がその最初の波を起こした瞬間だった。
乃木坂46に完全勝利したとは本人たちも思っていないだろう。格上相手になんとか食らいつき、あいこに持ち込んだのだ。
あいこは"勝ち"
結局勝負はじゃんけんで決まるというアイドル勝負にありがちな展開に。
代表者のさくらたんとさゆりんごの戦いは3回あいこが続いたあと、心理戦(とも言えない心理戦)の後にさくらたんが勝ち、HKT48が勝利という形になった。
勝利が決まるまでに、3回あいこが続いたことは、HKT48が善戦したことを象徴していたように思う。
あいこという形でHKT48は"勝った"のだ。
2016年、HKT48は間違いなく躍進する。
乃木坂46になんとか食い下がったパフォーマンスをみせたLIVE対決。
HKT48とNGT48が勝負する形で進むバラエティ番組『さしきた合戦』
1/29にはNMB48と同時放映されるドキュメンタリー映画。
HKT48は短期間で結果として全グループと対決する構造が続く。
勝てない戦いの土俵には立たないHKT48が、満を持してあえて勝負に出る。
それが意味する未来で、彼女たちはどんな"勝ち方"を見せてくれるのだろうか。
[参考URL]
乃木坂46 VS HKT48、白熱のパフォーマンス対決 驚きの結末に会場熱狂 - モデルプレス(画像)